お約束のアレの元ネタを調べてみた #1
4Gamer.net ― 連載「ゲーマーのための読書案内」第41回:『拷問と処刑の西洋史』を読んでいたらふと気になる記述が。
この本でもう一つエピソード的に面白いのが,有名な拷問/処刑具「鉄の処女」の実在は,まだ確認されていないというくだりである。現存する「鉄の処女」についてはことごとく資料分析が済んでおり,これらはみな,中世に不貞者を辱めるために着せた(?)「恥辱の樽」の改造品なのだという。信頼できる現物は,一つもないそうだ。
この樽は、カートゥーンでよく見るアレか?「身ぐるみ剥がされて樽以外着るものがない」or「貧乏人が樽を着る」状況ではないかッ?
というわけで調べてみました。まずは現物の「恥辱の樽」について調べなければなるまい。件の本によりますと中世、身持ちの悪い娘は樽に入れられて市中でさらし物にするという刑罰があり、これに使用された樽を「処女のマント」「恥辱の樽」と呼んだそうです。
…思い切りヒゲ生えとるやんけ!!娘じゃないやんけ!
英語版Wikipediaの「Schandmantel」の項にも写真があります。この樽は13世紀頃からドイツを中心にヨーロッパ各国で仕様され、身持ちの悪い娘だけではなく、密猟者や泥酔者にも同様の刑罰が適用されたみたいですな。海外サイトでも同様の質問と回答があり、樽を着るという発想のルーツとしてはこれで間違いないかと。
にしても恥辱の樽はどうも樽っぽくない。むしろ桶。分厚い板で補強されているのは重しをかけるという意味もあるんでしょうけど、カートゥーンでよく登場する板をタガで固定するタイプの、いわゆる西部劇的な構造の樽は底板を外してしまうとバラバラになってしまうため、現実的には被るといった用途には向かないためでしょうか。
また先の質問と回答によると、カートゥーンスタイルの樽は少なくとも1880年頃にはオペラやマンガにはすでに登場していたとされているんですが、中世とその時代とを結ぶ線はよく分からないとのこと。ううむ、行き詰ってしまった。
とりあえず今回はここまで。今後新たなソースが判明したら改めて書くことにします。